EBITDAとPER、さらに2つの包括利益
企業価値又は株主価値を求めるのに、倍率法というのがあります。
(例)
EBITDA120億円の企業の企業価値は、EBITDA倍率10倍の前提では
120億円×10倍=1200億円の企業価値
となります。
ちなみに、
企業価値=負債価値(純有利子負債:Net Debt)+株主価値
です。従って、株主価値を求めたい場合は、企業価値から負債価値を引き算しなければなりません。
この企業のNet Debtが200億円だとすると、
株主価値は1200-200=1000億円となります。
ここで、EBITDAが企業価値を求めるとされるのは、金利払い前なので、負債コストも含むからです。
一方、PER倍率を用いると株主価値がダイレクトに出ます。
ダイレクトに出るのは当期純利益が株主に帰属する成果のみから成っているからです。
さっきの企業が、当期純利益30億円、PER倍率が22倍の場合、
30億円×22倍=660億円の株主価値
となります。
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同じ株主価値を求めているのに、EBITDA倍率とPER倍率で全然違う結果になることがよくあります。
その理由はホントに価値が異なって出ることもあるのですが、少数株主がいる場合はそれを考慮してあげないとずれが生じるみたいです。今日出くわしたケースでは、まさに少数株主がいるケースなのですが、EBITDAには少数株主の貢献も入ってしまっているので、実はこいつも控除してあげないと正確な株主価値にならないようです。
ということで、少数株主が存在するケースでは、
企業価値=負債価値(Net Debt)+少数株主の価値+株主価値
となります。
Valuationモデルで少数株主持分をどのように算出するのかは厳密にはいろいろ議論があるし、結構考え出すとめんどいです。
ただし、基本的には元本(拠出資本)と果実(留保利益)の双方を少数株主にふってあげるという考え方で出せばいいと思います。
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なんじゃそれという話になっていますが、備忘的に残します。
それにしても、最近思うのはValuationはアートだよなということです。
前提を変えるだけでかなりのレンジで評価額を動かせますから。
本当に恣意性の無いスタンドアロンの企業価値評価をするのは非常に難しいです。
将来の事業計画をどう考えるかというのは難しいというか答えの無い話ですので。
よしんば売上を何かの指標から回帰分析によって求めるとかしても、利益率の変化はさらに難題です。
ということで、価値が決まるところは買い手と売り手の思惑なんでしょうね。
Valuationはその裏づけというか、そこまで外れた話じゃないよねというのを確認する手段に過ぎないのではないでしょうか。
そういう意味で、Valuationという作業は監査で言うところの保証業務になんとなる通ずる部分があるような気がしてきた今日この頃です。フェアネスオピニオンなんてまさに第三者評価ですから、より監査的な概念ですよね。
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会計・監査ジャーナルの2007年11月号「特別寄稿 2つの包括利益」という記事を読んでて思ったんですが、企業ってのは「資産」から成るのだけど、それが全てじゃないですよね。
同じ資産を持っていても、その利用方法によって生み出されるキャッシュは異なりますから。
PLとBSのどっちが重要って言えば、投資家にとってみたらやっぱりPLなんでしょうね。
全ての資産を再評価しなおして解散価値を算出したところで、それが投資意思決定の根本を成すかといえば、そうでもないケースのほうが多い気がします。
Valuationでは純資産法とか修正純資産法なんてのは参考情報にすることがほとんどなんですが、それはBS価値よりはBSに載らない無形の資産「自己創設のれん」的なものによって獲得されるキャッシュが企業価値の源泉だと考えているからなんですよね。
このジャーナルの記事を読むと、包括利益には2つの概念があって、現行の「純利益+その他の包括利益」方式と検討中の「評価前利益+評価差額利益」方式といった感じらしいですが、現行のものはいかなる実現概念も純利益を通過するのに対して、検討中の新方式は純利益という概念を用いないためキャッシュの測定すら困難になるのではというのが記事の主張のひとつでした。
Valuationを生業としている身から言えば、純利益がなくなるのは非常に由々しき自体だし、BS重視主義もどうしたものかと思います。やっぱ、意思決定で大事なのは瞬間解散価値じゃなくて、継続的なキャッシュ創生能力だと思います。
純利益がなくなったら、PER倍率という方法も過去の産物になっちゃうのでしょうかね。
まあ、なくなると決まったわけじゃないので今後の動向に注意を払っておきたいものです。