企業価値、株主価値の使いわけ
1個前の記事、企業価値=負債価値+株主価値としています。
企業価値という言葉は、かなりてきとーに使われている感がありますし、自分もこの仕事を始める前はこの言葉を結構適当に使っていました。
企業価値というのは、バランスシートの右側(貸方側)から現金同等物を除いた部分の価値を公正な価値に評価替したものと考えていただければいいのかなと思います。
その構成要素が、負債価値と株主価値になります。
負債価値はまあだいたいの場合簿価を準用します。簿外負債がある場合はそれを足します。
株主価値というのは、株主に帰属する価値です。
この価値を測定する方法として
- マーケットアプローチ(株価法、マルチプル法)
- コストアプローチ(純資産法)
- インカムアプローチ(DCF法)
があります。
2007年の現状では、インカムアプローチの「DCF(Discount Cash Flow)法」がメインに使われています。その他の方法は、補完的に使われたりしています。
ちなみに、よく、巷では「企業価値の最大化」を目指します。と標榜する企業がたくさんいますが、この言葉は厳密に言うと間違っています。
なぜなら、企業価値を最大化するためには、負債価値を増加させる⇒借入を増やすことによっても実行可能だからです。さっきの定義式をご覧下さい。
企業価値↑=負債価値↑+株主価値(一定)
でも成り立つということです。
株主価値の増大により、企業価値の増加を目指すという意味にしているなら、直接「株主価値」の増大を目指しますと言った方がいいのではと思います。
ただし、日本企業は株主価値の増大のためにあるわけじゃなくて、取引先や従業員を含めた広範囲の利害関係者に属する価値を最大化するという意味を込めて「企業価値」という言葉を使っているのだと思います。
そういう意味で、企業価値という言葉は「あやふや」に使われる概念のようです。
株式売買で儲かる方法を教えて欲しいといわれることがありますが、あるにはあります。
その日の株価と自分が求めた一株当たり株式価値を比較して株価が安い企業を買えばいいのです。PBRが1倍以下の企業を買うとか、PERが低い企業を買うとかそういう話ではないです。
世の中には、このようなPBR, PERによって意思決定したり、チャート分析によって意思決定したりして儲ける人、損する人がおります。
でもその設け方はゼロサムだと思います。丁半博打とあまり変わりません。私もこの丁半博打に参加したことがありますが、結局収支トントンがいいところですね。
一方、投資化の中には、そういう分析ではない方法で投資意思決定しているひともいるようです。過去のPLトレンド、中期経営計画の数値、保有する不動産の時価等を利用してあるべき株主価値を算出して、それによって現在の株価が割安なのか割高なのかを決める人たちです。
たぶん、長期的には後者の人たちの方が設ける確実性は高いと思いますし、チャートや倍率を追いかけることもそうそうしないので、株価ボードとにらめっこする「疲れ」をあまり感じずにいられるので、時間をそれ以外のことに使えるのでしょう。
といっても、一般個人に開示されている情報っていうのはかなり限られております。
財務諸表を見ても、有価証券報告書をみてもそれだけではたぶん儲かる意思決定はできないのではないかと思います。
企業の将来性に関するあらゆる情報、それは業界分析や経済の行方なのかもしれませんが、そういうものを仕入れてきて自分なりに意思決定するのが必要です。
風に吹かれてデイとレーダーのごとく市場に翻弄されるのと、自分の信じる道をみつけてそれに賭ける投資とで、どっちが自分の精神衛生上健全であるか、人それぞれですが、後者を選ぶ個人投資家が増えると良いなと思います。
ちなみに、私は職業柄株式投資は一切できないので、いろいろな企業の株式価値を算出しても個人の懐には直結しないのが、ちょっと悲しいところではありますね。